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最高裁判所第一小法廷 昭和46年(オ)1130号 判決

上告人

木原実

被上告人

検事総長

竹内寿平

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

上告人は戸籍簿の記載のとおり木原二郎と木原花子との間の長男であると認められる旨の原審の認定は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ)の挙示する証拠関係およびその説示に徴し、首肯することができ、原判決に所論の違法に認められない。その違法のあることを前提とする違憲の主張もその前提を欠く。論旨は、ひつきよう、原審の認定しない事実をも合わせ主張して、原審の適法にした証拠の取捨、事実の認定を非難するにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官岩田誠の反対意見があるほか、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

裁判官岩田誠の反対意見は、次のとおりである。

職権によつて案ずるに、上告人の本訴請求は、戸籍簿上父木原二郎と母木原花子との間の長男として出生したものとして記載されているが、真実は、右両名の子ではないのでそのことの確認を求めるというにあるところ、原審の確定した事実関係によれば、木原二郎、木原花子のいずれもすでに死亡しているというのであるから、本訴は、過去の法律関係の確認の訴として不適法な訴であり、却下されるべきものといわなければならない。したがつて、原判決は破棄を免かれないと考えるが、その理由の詳細は、当裁判所昭和四三年(オ)第一七九号同四五年七月一五日大法廷判決、民集二四巻七号八六一頁において私の同調した裁判官松田二郎の反対意見と同一であるから、それをここに引用する。

(岩田誠 大隅健一郎 藤林益三 下田武三 岸盛一)

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